眠らない島

短歌とあそぶ

2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

山本夏子 「スモックの袖」

山本夏子の歌にはゆるぎのない芯のようなものがあって、読んでいてここちよく信頼できる気持ちがする。新しい歌が溢れる中で、技巧に走るでもなく、奇想をとりこむでもなく、題材に凝るわけでもない。ふつうの生活をふつうの素直な文体ですくいとる。それで…

近代短歌を読む会 第18回 北原白秋『白南風』

今回は北原白秋の『白南風』を読んだ。この歌集は『雀の卵』以来十三年ぶりの歌集であり、昭和9年に出版された。この間、未完の歌集をふくめて、詩集、童謡、随想など多数の創作を行っている。白秋の旺盛な創作意欲は昭和にはいっていよいよ高まり、相当な…

山下翔 第一歌集  『温泉』

ぶだう食べてゐればぶだうを食べるしかできずに秋の日を跨ぎたり 山下翔の作品にはヒューマンなぬくもりがあって何十首つづいても引き込まれて、読んでしまう。それは、連ごとにストーリーが仕掛けられていて、その主人公をつい深追いしたくなってしまうから…

「柊と南天」1号

「柊と南天」1号を読んだ。 0号を読んでからもう一年。着実に前に進んでいる感じが羨ましい。 この冊子は塔の中の結社内同人誌。前回は5名の作品で今回は11人 塔は1000人を超す結社だから、なかなか目をとおして読むことは難しい。名前を知っている…