2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧
⑬ 『恋衣』の歌人 (『帝国文学』明治38・2・10) 山川登美子は感情の灼熱においても文学の駆使においても、さほどえらき歌人にあらず。特に空想の貧小なるは憐れむに堪えたり。彼女の歌は多くの点において乱れ髪を小規模にしたるやの観あり。換言すれ…
近代短歌を読む会 第六回 「山川登美子歌集」(岩波文庫) ◎出席者の選んだ歌より 1わが胸のみだれやすきに針もあてずましろききぬをかづきて泣きぬ うつくしき蛾よあはれにもまよひ来ぬにほひすくなく残る灯かげに おつとせい氷に眠るさいはいを我も今知る…
いつの日か失くせし磁石も文鳥もみつかりさうな森のふところ 小黒世茂の歌を読んでいるとなんとも心地良い。小刻みな現実の時間から解き放たれて、大きくて深い世界に包み込まれる。小黒の歌はいつでも命の根源にまっすぐに向き合って存在そののものを鷲づか…