眠らない島

短歌とあそぶ

2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

堂園昌彦第一歌集 『やがて秋茄子へと到る』

泣く理由聞けばはるかな草原に花咲くと言うひたすらに言う 堂園昌彦「やがて秋茄子へと到る」をやっと読むことができた。というのも、ここ数年、堂園昌彦の「やがて秋茄子へと到る」の連作を通読できる日をずっと持ち望んできたからだ。この作品は、200…

久野はすみ 第一歌集『シネマ・ルナティック』

久野はすみは私の「未来」の歌友であり、もっとも信頼するする歌人の一人でもある。2001年に「未来」に入会後、翌年には早々と未来賞を獲得、また2003年には未来評論賞をも手にした一筋縄ではいかない強者である。その久野が待望の歌集を出した。厳…

山下泉第二歌集  『海の額と夜の頬』

山下泉の歌を読んでいると、緊密に構築された回廊に迷い込んだような不思議な感覚を覚える。描かれているのは紛れもなく作者の日常空間だが、独自の感性と磨かれた知性によって俗性を捨象され、再構成された世界となって立ち現れる。そこには、父や母、弟、…

田中教子「ことのはしらべ」

田中教子「ことのはしらべ」は、万葉集を身近に感じることができる楽しい本である。 作者は万葉集の研究者であるが、この本では、些末な考証から放たれて自由自在に万葉集と現代とを行き来して話題が広がってゆく。「さくら」の語源や「梅」の表記の歴史をと…