眠らない島

短歌とあそぶ

2021-01-01から1年間の記事一覧

平岡直子 『みじかい髪も長い髪も炎』

ただ風に吹かれるという苦しみもあるのでしょうね煙草一箱 過ぎてゆくものに抗いもせずにただ見送るしかないとしたら、それを苦しみと名付けるとしたら、存在とはなんともやるせない。普通こういう文脈では、木がよく登場するけど、ここでは「煙草一箱」とい…

川本千栄 第四歌集 『森へ行った日』

午後私はあまりに眠くもたれたき壁を探してゆるく歩いた 歌を読みながら、作者の体のなかに引っ込まれてゆくような、不思議な浮遊感をおさえきいれない。生きて蠢ている感覚をとおして繰り出される言葉が、読む方の表層の意識をはげしく揺さぶってくる。 巻…