眠らない島

短歌とあそぶ

2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

近代短歌を読む会 第10回 釈超空『海やまのあひだ』

釈超空 『海やまのあひだ』読書会 〇 参加者の三首選 葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。 この山道を行きし人あり 耳もとの鳥の羽ぶきに、森深き朝の歩みに、とどめたりけり 草のなか、光りさだまるきんぽうげ。いちじるしもな。花 群れゆらぐ たえまなく …

大辻隆弘 第八歌集 『景徳鎮』

かぎりなき遠さを保ちゐるごとく水辺にひらく夕べの合歓は 歌集をとおして圧倒的な重量感のある歌の嵩に押されそうになる。ときおり、ひかりが差しこむように美しい叙景歌が立ち上がっているのだが、それだけに影の部分の濃さが際立つことになる。この歌集…

足立尚彦歌集  『ひろすぎる海』

うつむけばひろすぎる海 見なくてもひろすぎる海 うつむいている みずみずしいこころがそのまま言葉に包まれているような歌。悲しみを詠みながら、読むものにぬくもりを残して消えてゆく。老いを詠みながら、少年のような憧れや含羞を垣間見せてしまう。そん…

大辻隆弘講演集

大辻隆弘講演集は刺激的である。収録されている内容は、今までに実際リアルタイムで聴いたものや、パピエシアンに何年間か連載されていたのを読んで知っていたものもある。しかしこうして一巻にまとめられると、大辻隆弘のなしてきた業績の厚みをあらためて…