2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧
「空はともだち」はスリリングな歌論だ。高柳は膨大な短歌のデータベースを扱うことで、歌を解釈することにおいて、歌人の個別性を越えていく方法を編み出す。そして、短歌に登場する語彙に徹底的に拘ることで、言葉に託される叙情の普遍性と限界にせまろう…
明治43年 1月1日『独り歌へる』出版 明治41年4月から42年7月まで 551首 3月 雑誌『創作』創刊 4月 歌集『別離』出版 5月 小枝子に女の子が生まれる。庸三との子ではないかとの疑念にさいなまれる。 千葉に里子に出されるが、養育費を払わね…
第5回 若山牧水 『別離』 〇 参加者の三首選より 摘みてはすて摘みてはすてし野のはなの我等があとにとほく続きぬ 健やかに身はこころよく餓えてあり野菊のなかに日を浴びて臥す 彼の国の清教徒よりなほきよく林に入りて棲むまむとおもふ 晩夏の光しづめる…
第4回 前田夕暮『収穫』(明治43年刊) 〇参加者の3首選より 木に花咲き君わが妻とならむ日の四月なかなか遠くもあるかな 一の吾君を得たりとこをどりす二のわれさめて沈みはてたる 夜の空に鐘鳴る、街は死せるごと凪ぎたり君はわが前に泣く 水の上を遥あ…
遺伝子の舟と呼ばれし肉体を今日も日暮れて湯船に浸す 森垣岳の歌を読み、不思議な感覚を味わった。歌集に収められている多くの職場詠、そして父親との軋轢、あたらしい家族との交流、それらはたしかに境涯詠であるのに、境涯詠につきものの湿っぽさがまるで…