眠らない島

短歌とあそぶ

2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧

高田ほのか 第一歌集 『ライナスの毛布』

光る窓を数えていけばビル群で繋いでいけば海図のようだ 『ライナスの毛布』は、歌集という既成の枠組みをはみ出した発想から生み出されているように思う。巻頭の「メリーゴーランド」は120首もの連作からなる虚構の物語。どこにでもいる若い三人の恋愛の…

林和清 『去年マリエンバードで』

さくらばなひとつびとつは蔵でありむかしのひとの名前を蔵 ( しま )ふ 林和清の歌を読んでいると、さりげなく表現が抑えられて詠まれていても、そうであるほど内心から不安が立ち上がってくる。それは暗い高揚感とでもいうか。自分の中にある邪悪なものをふ…

近代短歌を読む会 第13回 『斎藤茂吉歌集』その1

三回目の斎藤茂吉になった。 岩波文庫『斎藤茂吉歌集』をテキストにして『つゆじも』から『暁紅』までの9冊を読んだ。メンバーの中には、このアンソロジーではなく、一冊ずつ全てを読破してきた人もいてなかなかハードな会になった。 〇全体の感想 今回は歌…

やすたけまり 『 みちくさフィールドノート  むしの巻 』

そういう日なんだろうけどコミスジと行くさきざきの道で出会った やすたけまりの歌を読んでいると、いつのまにか不思議な空間に連れていかれる。そこは、日常の世界からはそんなに遠くないのに、普段は見たり、触れたりすることができない世界。日常性の湿り…

『柊と南天』 第0号

冬の陽ざしのように簡潔で暖かな冊子がとどいた。『柊と南天』は「塔」短歌会のなかの同人誌らしい。永田淳さんの呼びかけで集まった昭和48年生まれのメンバーで発足したとある。まだ準備期間ということで今回の冊子には0号とある。掲載されている5人の…