眠らない島

短歌とあそぶ

2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

前川明人 第七歌集 『曇天』

碧天に梟首のごとき石榴の実残酷だったなああの戦争は 前川明人は未来短歌会の仲間である。このたび出版された歌集『曇天』は第七歌集であり、未来のなかでも歌歴は長い。前川は1928年に長崎市で生まれている。原爆が投下されたときは17歳。私は、未来…

河野美砂子  第二歌集 『ゼクエンツ』

雨雲をはぐくんでゐる森としてゆれやまずあり青葉の御所は 河野美砂子の第二歌集が出版された。待ちにまった歌集である。第一歌集から十年あまり。十年はやはり長い。この作者にして、第二歌集まで十年を要することに驚きを感じる。自身の歌への妥協を許さな…

土岐友浩 第一歌集 『Bootleg』

クーラーを消してお米を磨いでいる今日という一日のほとりに 土岐友浩の歌にずっと惹かれてきた。今回、待望の第一歌集が出て、至福感に満ちた言葉の世界にゆったりと浸ることができた。これから何度も手にする歌集となるだろう。まだ、読み切れてはいないが…

『葛原妙子論集』 現代短歌を読む会編

「現代短歌を読む会」から葛原妙子論集が出た。前回の山中智恵子論集の刺激的な論考が記憶に新しい。冊子の表紙には尾崎まゆみ、彦坂美喜子、山下泉、吉野亜矢、楠見朋彦の五名の名前が並んでいる。難解派といわれる葛原妙子の短歌をこういった逸材が揃って…