線量の増えゆく空を鳥たちは朝をよろこび鳴いたであろう
あの日より前にも雪は舞いおちて海に戻ってゆけばよかった
舟人はいくども目覚めているにしろ昨日の唄がまだおわらない
ああ昔、夜空に舟が燃え上がり、それは、と人は語るのだろう
橋は架け直され岸はふたたび築かれるのか、むろんそうだが
流れだすことのできない水はあり留まったまま、ただ苦しいと
近づいてきて幸せだろうという、青ざめながらうなずいている
開かれたままの小さな手のひらを閉じてあげられないのね あなた
陸奥のしのぶもぢずり乱れつつさまようしかない海からの風
ひがしより少し遅れて水無月の夜はあけてゆく湿りを帯びて