批評会報告 会場発言4
○ 河野美砂子
全ての歌がうまい。歌会であれば全部○がつく。
全体に明るい諦観を詠み込んでいる。
「~してしまう」「受け身形」が多いのがそういうことであろう。
読みにくいといわれるのは私性がないからばかりではなく、文体の問題である。
句切れがなく、初句から三四句まで続く流れて行くつくりになっている。
また句切れがあったとしても結句が上に返っていく文体が多い。
頭でっかちの印象がある。
しかし、口語で工夫をしている。
1首1首全体が喩になっている。
口語の軽さをカバーしている。
○ 本多真弓
口語でチャレンジしている。
世界を断定しないことで詩的な世界を作り上げている。
説明したくなるところをこらえて、押さえている。
円環していく文体が多い。
○堀合昇平
私性がないといわれるが、歌集全体から私性は感じられる。
かたちのみえない中心にアクセスしようとしている。
根源性を目指しているところが個性といえる。
口語の必然性はある。この文体でしかつかめない。
口語は簡単というイメージがあるが、果たして口語は簡単か?
文語の方が簡単。
文語で歌を作ると短歌らしくなる。