眠らない島

短歌とあそぶ

批評会報告  会場発言3

○ 小谷博泰
 
全体の印象は、ネガフイルムの中の遠い風景を見ている感じがした
不思議な心地よさがある。
抽象的なイメージでそのまま読み取ったほうがよい。
単純でなつかしい光景がみえてくる。
後半にわかりにくい文体が多くなる。
主語がないので、わかりにくいが、わかりにくいのが、いい気持ちである。
話し言葉では、主語は省かれるから、それほど問題ではない。
 
新しいものはすぐ古くなるとも言える。
この歌集は豊かな想像力によって単純な心の風景を詠んでいる。
 
○ 土岐友浩
 
自分は方法的に口語でつくっている。
文語は毒林檎である。
文語にはラインがある。
パーツをはめ込んでいくとそれなりに形になる。
 
大岡信の言葉
「口語で歌を作るひとは普段から疑問形でものを考えている人」
言い差しが多いのは、わからないものはそのまま差し出しているから。
 
「ひばりありがとうほととぎすありがとう手を振りながら年老いてゆく」
ひばり(春)ほととぎす(夏)と読み取れ、青春への別れを告げている。