眠らない島

短歌とあそぶ

批評会報告  会場発言1

○林和清
 
短歌に果たして「私性」がいるのか?
「主語」がそれほど重要か?
現実を再現してそれでよいのか?
写実とは自分とのかかわりを詠むことではない。
文語にはできない世界を口語で表現している。
おそらくは現代詩からの影響ではないのか。
定型感があり体性感覚が感じられる。口語文体には内的な必然性が感じられる
 
手の間からすりぬけてゆくもの、老いの手触りを内的に表現している歌集である
 
 
○ 米田律子
 
作者にとって、口語はひとつの挑戦である。
それは成功している。
丁寧な口語であり、定型を守っている。
自己模倣にいかず、さまざまに工夫を重ね、意志的、持続的にたゆまず練っている。
器にあった内容を選び取り、内容が深まっている。
読者をあきさせない歌集である。
 
垂線(時のうつろい)が無いことが惜しまれる。
老いはそれを補うために無意識にもってきている。
しかし、まだ、老いの取り上げ方が甘い。