2011-12-12 未来12月号 日記 #練習用 黒揚羽 朝戸より床に吹きぬけゆく風をゆるくすあしに踏んでみようか 手のひらに掴もうとして黒揚羽 ひかりの裏にいってしまった 裏側はひぐらしの谷なんでしょう硬貨をいれる細長いあな 気の強い西陽に好きにさせている夾竹桃のようにあなたを 夜もすがらほぐされてゆく悦びの至りの月に雲は来ていた やわらかく猫に咬まれている臑にうすく目覚める 未明だろうか 降りてきた鴉の脚が掴もうとしてほのじろいフェンスのふるえ 汗ばんだ背中に砂をくっつけて夕陽はどうにか傾いている 親指のちからを抜いてあげようか ねむいねむたいツクツクボウシ