鳥たちがようやく騒ぎ始めてもあなたはいつも眠らない島
防波堤に足を垂らしてわたしたち引き返せないのを幸いとして
分け合えるものなど何処にもないのだろう鳥の滑ってゆく春のみず
目を閉じて罅のきれいな水面を呼び出しながら呑むこなぐすり
吊り橋に日が落ちてゆくはるけさに照らされているこの首すじを
過ぎてゆく大きな船のうすぐらい窓におそらくわたしが映る
また熱の上がる感じは耳にきて長めにひびく海鳥のこえ
春にしろ何にも持っていなかったペットボトルのキャップ集めて
終わりまでここにいようよ 遠くから軽々と火は上がる野焼きの
春寒の大気に触れて曇りゆく眼鏡のむこうにある白い街