眠らない島

短歌とあそぶ

2016-01-01から1年間の記事一覧

野田かおり 第1詩集 『宇宙の箱』

野田かおりは『未来』の若い歌友である。短歌の仲間とばかり思っていた野田かおりが詩集を出版した。突然のように思えたが、実は現代詩とのつきあいの方がずっと長かったことを知った。そんな彼女にとって第一詩集『宇宙の箱』の上梓はむしろ遅いくらいだっ…

池田はるみ 第六歌集 『正座』

陽だまりのやうな時間があるといふ丸椅子の上がさうかもしれぬ ここ一月ほど、池田はるみの『正座』をいつも鞄にいれて出勤していた。少し時間があくとき、気持ちを変えたいとき、鞄から取り出してパラパラとめくる。するとやわらかな感情がこころに流れ込…

紺野万里 第三歌集 『雪とラトビア*蒼のかなたに』

月照らす海を見てをりあたたかく脈うつ古き海を抱きて 月に照らされた海を見ながら、作者のこころは地球の生命の誕生したころの海を見ている。自分という存在を四十億年という地球の生命の歴史のなかに還元することで、たったひとりの自分という絶対的な自…