眠らない島

短歌とあそぶ

批評会報告2

「眠らない島」批評会
 
○パネリストからのレポート
 
   中津昌子
 
    「外界との不思議なかかわり」を感じる歌集
   
1 「私とは何か」を「私を包んでいる外界ってなに?」という懐疑のしかたをしている。
外界と体感を感じさせるような有機的なかかわりをしている。ある種そこに女性性を感じる。
 
2 「あなた」が多用されている。「あなた」は一つの像に集約されない、実体がみえないものである。そのせいで印象がぼんやりしてしまった。もっと深く沈むものがあればよい。
 
3 老年意識は生きていることへのある種の感慨である。
作者の生きている事への過剰な期待をしない姿勢がみえてくる。
 
4 日常との距離の取り方が独特であり、短歌から詩に近づくときのとまどいを読者に感じさせる。読者に読む時間を要求する歌集である。
 
5 読むのにしんどい歌集、とつきにくい歌集、単調な歌集、といわれてしまうのは何故か? 
6 小池光の発言「私性こそが短歌の生命線」
  小高賢 高野公彦論 「ある一定のレベルを超えると、読み手は人間の総体に関心をもってしまうのではないか」
   をひいて、
   短歌の私性と詩性の問題について提起した。